官能小説
最近、並行的読書法(『裁判官の書斎 全五冊』書評参照≪付記2≫)で読み進めている本に倉阪鬼一郎著『夢の断片、悪夢の破片』(同文書院)がある。本書の表題ともなったE・M・シオラン著『オマージュの試み』(法政大学出版局)を解読する際に、倉阪さんが引…
どんな本が私の心を揺さぶるのか、正直未だに判らない。年齢やその時置かれている環境によって、それは微妙に変化していくもののように思えるからだ。 本書を読む前に一読した、同じ千草さんの『贄の花(上・下)』は、完璧なまでに洗練された様式美を圧倒的…
雑誌掲載の小説(未単行本化)を書評するのは掟破りかとも感じたが、この小説に自分なりのけじめを付けたい意味もあり、非難を承知であえて取り上げることにした。 数年前に、購入した古本雑誌に掲載されていたこの短編に目を通した最初の印象は、“千草さん…
SMファンに『復讐の鞭が鳴る』の題名で、74年10月〜75年1月まで連載されたもの。(千草忠夫のファンサイト《不適応者の群れ》情報)千草忠夫さんの執筆の場が、「奇譚クラブ」から「裏窓」「SMファン」「SMコレクター」等の他誌へ移っていった時期の作品であ…
本書は、千草忠夫さんの代表作というわけではない。千草本は未読が多いので、あえて印象に残った小品を取り上げてみた。千草さんは、英語教師という肩書きを持ちながら、雑誌「奇譚クラブ」に随筆を投稿したことから文筆業に携わるようになった人である。団…