随筆

『活字狂想曲』(倉阪鬼一郎著) 幻冬舎文庫

約半年ぶりの書評である。(厳密には、過去の書評に付記として所々に追録しているので、決して長いブランクではないのだが・・・)どうも怠け癖が顔を見せ始めたようだ。 ここ数ヶ月に渡って読んだ本の傾向は、驚くほど似通っている。 列記してみると、権藤…

『吐夢がゆく』(編者 吐夢地蔵有志会出版実行委員会) 吐夢地蔵有志会

この本との出合いもまた草森紳一さんが作ってくれた。直接の要因は、前回取り上げた『彷書月刊』の諸星大二郎特集号と同様、崩れた本の山の中から(草森紳一蔵書整理プロジェクト)というブログに掲載されていた2009/1/8付の「巨匠放浪」と題した文章による…

『悪魔王国の秘密』(監修 佐藤有文) 立風書房

HP「書肆月詠」で紹介された年少者向けの悪魔学本である。内容は児童書とは思えないくらい、邪悪な匂いを沸々と漂わせている。 「書肆月詠」によれば「ビッグジャガーズスペシャル」と銘々され、佐藤有文さんの監修で『ソロモン王の魔法術』と本書の二冊が刊…

『裁判官の書斎 全五冊』(倉田卓次著) 勁草書房/判例タイムズ社

迂闊だった。著者の倉田さんがご高齢なので、御身体のことを少々気にかけていたのだが、今年の1/30にお亡くなられたことを本日知った。裁判官・公証人・弁護士を務めて、八十九歳で死去されたそうだ。正に、天寿を全うされたと言って良いように思う。心から…

『奇譚クラブの人々』(北原童夢・早乙女宏美共著) 河出文庫

戦後数多く発刊されたSM雑誌の走りとも言える「奇譚クラブ」に携わった人達を、随筆形式で紹介したものである。沼正三著の『ある夢想家の手帖から』について書いた時にも感じたことだが、エッセイは紹介するのが非常に困難で、内容を詳細に取り上げようとす…

『ある夢想家の手帖から 全六巻』(沼正三著)潮出版社

戦後のカストリ雑誌『奇譚クラブ』に連載されていた作品を、ほぼ完全な形で纏めた本である。(都市出版社や太田出版から出ているものは抄録本で、”ほぼ”と記したのは不定期連載「沼正三便り」の一部と、ヤプーの「中絶お詫びのご挨拶」記事、告発ともいえる…